推薦図書

『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』Martin Ford. The Rise of the Robots, Oxford University Press, 2015.邦訳

  • 著者名 : マーティン・フォード著,松本剛史訳
  • 出版社 : 日本経済新聞出版社
  • 出版年 : 2015年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2016 Vol.3
停滞する賃金,労働分配率の低下と企業収益の増大,労働力率の停滞,雇用創出の減少・雇用なき景気回復の長期化・長期失業者の増大,格差の拡大,近年の大卒者の所得低下及び失業,分極化とパートタイムの7つのトレンドを挙げ,進歩がさらに加速する技術革新,特にAI(人工知能)が将来の経済や社会に何をもたらすのかについて分析している。技術革新がわれわれの生活に及ぼす影響について関心をもつ人々にとって,欠かすことのできない重要な書籍である。人工知能はすでに人々の仕事に代替されようとしている。これにより,人間の仕事の多くは消滅し,人々の生活は苦しいものになるだろうと示唆している。今後,大規模な失業や不平等に直面する可能性が高いなかで,対策として市場を再生可能資源として考えること,制度をより累進的なものにすること,コミュニティカレッジなど教育のイノベーション,勤労所得控除を提案している。本書は,これからの社会に対応し,安定と繁栄がもたらされる未来を創出するための示唆に富んだ一冊である。
(稲葉 陽二教授/配架予定)