推薦図書
” China’s unruly journalists—how committed professionals are changing the People’s Republic “
- 著者名 : Jonathan Hassid 著
- 出版社 : Routledge
- 出版年 : 2016年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2016 Vol.2
本書は,学術専門書出版の世界的大手ラウトレッジの,140巻におよぶ現代中国研究シリーズの1冊である。著者のジョナサン・ハシッドは,米国アイオワ州立大学政治学科の准教授で,現代中国のニュースメディアに関して,多くの調査論文を執筆している。
中国のニュースメディアが中国共産党の「喉と舌」の役割を果たし,党指導部を頂点とするトップダウン型の情報統制が敷かれていること自体は周知である。本書の特徴は,18か月にわたる地道な中国各地でのフィールド調査により,70人を超えるニュース記者や大学人との対話から具体的な経験談を引き出すとともに,2万本を超える記事や論文を素材として,現代中国のニュースメディア構造の分析を試みた点にある。
被験者の経験談からは,ニュースバリューが,政府以外にも,資金力のある個人や企業の資金提供によって左右されている慣習や,米国型のジャーナリズムを試みる記者たちが被っているリスクの厳しさなど,多種多様な側面が垣間見える。政治・経済,および,技術進歩の大きなうねりの中で,中国ニュースメディアに従事する人びとのダイナミズムに触れることができる貴重な一冊である。
(別府 三奈子教授/5F西開架)
中国のニュースメディアが中国共産党の「喉と舌」の役割を果たし,党指導部を頂点とするトップダウン型の情報統制が敷かれていること自体は周知である。本書の特徴は,18か月にわたる地道な中国各地でのフィールド調査により,70人を超えるニュース記者や大学人との対話から具体的な経験談を引き出すとともに,2万本を超える記事や論文を素材として,現代中国のニュースメディア構造の分析を試みた点にある。
被験者の経験談からは,ニュースバリューが,政府以外にも,資金力のある個人や企業の資金提供によって左右されている慣習や,米国型のジャーナリズムを試みる記者たちが被っているリスクの厳しさなど,多種多様な側面が垣間見える。政治・経済,および,技術進歩の大きなうねりの中で,中国ニュースメディアに従事する人びとのダイナミズムに触れることができる貴重な一冊である。
(別府 三奈子教授/5F西開架)