推薦図書
『世界の技術を支配するベル研究所の興亡』
- 著者名 : ジョン・ガートナー著 土方奈美訳
- 出版社 : 文藝春秋
- 出版年 : 2013年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2014 Vol.3
米国の電話会社AT&T傘下の研究所Bell Telephone Labが豊富な資金をもとに,いかに多くの技術の金の卵を生んできたか。研究所の黄金期を支え,指導してきたリーダーはマービン・ケリー,ジム・フィスク,ウイリアム・ベーカーであった。そこで,どのような研究がなされてきたか。ジョン・バーディーンとウォルター・ブラッテン,ウィリアム・ショックレーによるトランジスタの発明(1947)。クロード・シャノンは誤り訂正符号(本来のメッセージに余分な情報(符号)を追加することで,「いかんともしがたい」と考えられていた伝送中のメッセージの質の劣化を,「いかようにもコントロールできる」ものに変えてしまった)(1948)。天才シャノンと名伯楽マービンの中間的存在がジョン・ピアース,彼による通信衛星の打ち上げ(1961)等です。ピクチャーフォン(1964)という製品は出来ても売れなかった失敗例もある。冷戦終結後,国務省に支持されてきた独占の言いわけを失い,やがて,司法省と争って,独占企業は解体(1984),身売りを余儀なくされ,研究データのねつ造者を出すまでに,落ちぶれてしまいます。司法省のしたことはアメリカの国益にかなったことだったでしょうか。
[高橋徹教授/3F西開架]
[高橋徹教授/3F西開架]