推薦図書
『ルソーの戦争/平和論:「戦争法の諸原理」と「永久平和論抜粋・批判」』
- 著者名 : ジャン=ジャック・ルソー著 ; ブリュノ・ベルナルディ, ガブリエッラ・シルヴェストリーニ編 ; 永見文雄, 三浦信孝訳
- 出版社 : 勁草書房
- 出版年 : 2020年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2024 Vol.2
「個人間にかつて真の戦争は一度もなかったし,ありうるはずもない」(『戦争法の諸原理』)。もちろんこれは,国家間の戦争や,戦争にカテゴライズされない現実の紛争が存在しないということではありません。
ルソーのテクストの批評校訂は,当時の錚々たるルソー研究者が携わったプレイヤード版(全5巻,1959-1995)の刊行によって完成されたかのように見えました。しかしながら,今世紀になってブリュノ・ベルナルディを中心に行われた新たな校訂作業がこの基幹的研究領域に刷新をもたらしました。本書の原典はその共同作業の成果の一つです。特筆すべきは,ルソーの戦争論が「発見」され,「復元」されたことです。この作品を構成する部分は,単なる下書きか断片とされていましたが,そうではありませんでした。ルソーは国家間の対外関係の問題を解明すべく取り組んでいました。実際,ルソーの当初の企て(『国家学概論institutions politiques』)には国家間の対外関係も含まれていました。しかしその成果である『社会契約論』は一国における「国制法の真の諸原理」を主題とするにとどまりました。この復元によって開かれた新たな観点からベルナルディの研究チームが行う研究も,本書のもう一つの特筆すべき点となっています。
(吉澤保准教授/4F西開架 329.6||R 76) ※赤字をクリックでOPACにつながります
ルソーのテクストの批評校訂は,当時の錚々たるルソー研究者が携わったプレイヤード版(全5巻,1959-1995)の刊行によって完成されたかのように見えました。しかしながら,今世紀になってブリュノ・ベルナルディを中心に行われた新たな校訂作業がこの基幹的研究領域に刷新をもたらしました。本書の原典はその共同作業の成果の一つです。特筆すべきは,ルソーの戦争論が「発見」され,「復元」されたことです。この作品を構成する部分は,単なる下書きか断片とされていましたが,そうではありませんでした。ルソーは国家間の対外関係の問題を解明すべく取り組んでいました。実際,ルソーの当初の企て(『国家学概論institutions politiques』)には国家間の対外関係も含まれていました。しかしその成果である『社会契約論』は一国における「国制法の真の諸原理」を主題とするにとどまりました。この復元によって開かれた新たな観点からベルナルディの研究チームが行う研究も,本書のもう一つの特筆すべき点となっています。
(吉澤保准教授/4F西開架 329.6||R 76) ※赤字をクリックでOPACにつながります