推薦図書

『法窓夜話』

  • 著者名 : 穗積陳重 著
  • 出版社 : 有斐閣
  • 出版年 : 1916年ほか
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2023 Vol.1
大学に限らず「授業」と呼ばれるもので問題となるものの一つとして教師による余談(授業内容とは無関係な話)があります。紹介者が大学で職を得て間もない頃,「専門科目の話ばかりでは学生さんらも退屈するだろうから余談でもしようか。ただ,教師の自慢話の類は質が悪いのはもちろん,すべらない話をする技量もない。」ということで,予め余談を仕込んで話をすることにしました。そこでネタ本としたのが本書です。
著者の長男である穂積重遠による序にあるように,本書は,法学界の大御所である著者が夜な夜な息子(重遠)に話した法律談をまとめたものであり,法律史,法諺,または法律家に関する逸話などを含むものです。カランの法術,幽霊に対する訴訟,史上最も長い訴訟・・・,法律うんちくから,明治民法制定時の論争の記憶(著者は明治民法起草委員の一人)まで,まさに授業中の余談にはうってつけでした。時は流れて授業で余談を話すことはなくなりました。代わりにここで紹介しますので,勉強の合間に,または眠られぬ夜にじっくりお読みください。
(吉田純平准教授/法図4F東開架 320.4||H 97.2||1)