推薦図書

『議会法』

  • 著者名 : 大石眞 著
  • 出版社 : 有斐閣
  • 出版年 : 2011年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2021 Vol.2
議会の危機が指摘されるようになって既に久しい。これまで多くの改革論が提唱されてきたが,議会の復権が実現したとは言い難いのが実状である。問題の本質を見極め,適切な処方箋を提示することが求められているが,情緒的な議論も少なくなく,抜本的な改善を図るには至っていない。その点,本書は議会における制度上の問題点を的確に指摘しており,立法過程や日本政治に興味を持っている学生のみならず,一般の読者に対しても非常に有用な視座を提供している。
著者は長年にわたり統治機構の分析を行ってきた気鋭の憲法学者であるが,本書は初学者にも分かりやすい文体で問題の本質を説く内容となっている。民主主義の抱える問題点を理解し,その改革の方向性を考える上でまず初めに読むべき本であり,法律や政治に関心のある学生だけでなく社会科学を学ぼうとする全ての人にとって価値ある書物のなかの1冊となっている。
授業後あるいは夏休み期間中に実際に図書館に足を運んで,ぜひ本書を手に取ってみてほしい。
(水戸 克典教授/4F東開架)