推薦図書

『複雑困難事件と損害賠償I』

  • 著者名 : 藤村和夫編集代表
  • 出版社 : 青林書院
  • 出版年 : 2023年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2024 Vol.4
法律実務上,事件全体が複雑で解決が困難なため,争点整理期間が長期化する事件は「複雑困難事件」と呼ばれています。さまざまな複雑困難事件がある中,本書は損害賠償請求にかかわる事件を横断的に取り上げ,事件類型ごとに理論的な分析を加えるとともに,実務上の参考になり得る事件解決の指針を検討しています。
 本書は3編で構成されています。第1編の総論で損害賠償の全体像を概観します。ここで実体法と手続法の対応関係も抑えることができます。それを踏まえて,第2編では,民法上の不法行為の損害賠償に関する複雑困難事件が,第3編では,個別の事件類型ごとの損害賠償に関する複雑困難事件が取り上げられていますので,興味のある事件を読み進めてください。
 一例を挙げれば,原発差止訴訟,個人情報漏えい事件,地面師詐欺事件,JR東海事件,札幌ドームファウルボール事件等,講義で取り上げられる有名な事件が多数解説されています。このような複雑困難事件の解決策を検討することは,講義やゼミの検討を深めることができるとともに,司法試験をはじめとする難関資格試験対策にもなります。本書は全2巻ですから,2巻もチェックしてください(324.55||F 63b||2)。
基本から応用まで損害賠償請求事件を深く学ぶことのできる格好の素材ですから,ぜひ手に取って欲しい1冊です。
(大久保拓也教授/4F西開架 324.55||F 63b||1)       ※赤字をクリックでOPACにつながります