[大意]

夕陽は沈み行き、行きかう人は少ない

苔が一面に生えて、その緑で道が分からなくなっている

長く生長した竹はまるで竿のようで、松の木陰を揺らしている

山から吹き下りる風のしわざか、窓いっぱいに雲が覆っている

[注]

苔茵(たいいん)
苔が一面に生えている所。
修竹(しゅうちく)
長く生長した竹、竹林。

[補説]

署名がないが、山田の筆跡である。また、落款印の上は「山田顯義之印」、下が「空齋居士」で、いずれも山田が使用している印である。