山田顕義七言詩 (紙本墨書) (8月21日澄川篁坡に次いで詩韻)
[大意]
蓼の葉が一面に赤みを帯びて、秋が来るのを急き立てている
庭石を囲むようにびっしりの葉も、よく見れば境目も深くて塵も溜まらない
美味い酒でほろ酔い加減に、作詩の気分も乗ってきた
窓の前はまばらな竹林だが、一雨来たら良い詩が出来そうだ
[注]
- 【蓼葉】
- タデ科の一年草。花は秋に咲く種類が多い。
- 【泉石】
- 庭石。山や川の自然な景色のこともいう。
- 【陶然】
- 酒に酔い、打ち解けて気持ちが良くなること。
- 【牕前】
- 窓の前。
[補説]
澄川拙三は長州藩士。篁坡は雅号。天保13年(1842)生まれ。土屋簫海に従学したのち上京し、明治前期の漢詩界の大家大沼枕山・鷲津毅堂等に就いて詩に長じた。司法省判事・検事を歴任、明治15年(1882)大審院検事となった。年齢の近い山田とも詩友であったろう。