[大意]

青い苔や緑の草が、真新しい土饅頭の墓に繁っている

私だけが太平の世を謳歌していることは耐え難い

酒杯を挙げながら花を見ていると、戦死した選抜隊の御霊を思って

ますます切なくなる

去年の今日、熊本城を陥落させた

[注]

【新塋】
新しい墳墓。「(えい)」は盛り土をした墓。
【熊城】
熊本城。

[補説]

「戊寅」は明治11年(1878)。前掲7の七言詩「明治十年四月十一日、選抜死士 四十名...」は、決死隊を選抜して突撃させ、3日間激戦の末熊本入城を果たした感激を詠んだもの。1年が経って、戦死した選抜隊の霊を、改めて偲んで詠んだもの。