山田顕義七言詩 (絹本墨書) (梅を看る)
[大意]
故郷を離れて戦に明け暮れ、他国をさまよう、それが我が生涯
平素から抱いていた理想は、今また異なる結果に終わった
城の南に立つ一本の梅の樹を見ると、嬉しくてたまらない
去年の春の景色も、去年 咲いた梅の花も
[注]
- 【流離】
- 故郷を離れ、他国をさまよう。
- 【漂蕩】
- さまようこと。
- 【差】
- 理想と違う結果になる。
- 【羨殺】
- 嬉しくてたまらない。『山田顯義傳』・「空齋詩稿」とも、ここは「独喜」の字があてられている。
- 【城南】
- 熊本城の南であろうか。
- 【賢兄】
- 年長者に対する敬称。
- 【清嘱】
- 依頼、委嘱。「清」は相手の高雅な品性を表わす。
[補説]
「伊藤賢兄」は伊藤博文であろう。『山田顯義傳』には「看梅」の題が付され、明治11年(1878)の作とされる。すると、1年前は西南戦争が勃発し、山田は別働旅団の司令官として熊本城に籠る西郷軍と激戦を繰り広げていた。その時の感慨であろうか。