• 2016.01
  • 『 England`s Treasure by Forraign Trade 』
  • 『 Prozessrecht und materielles Recht 』
  • 『聞き書緒方貞子回顧録』
  • 『はじめてのEU法』
  • 2015.12
  • 『Das Mutterrecht : eine Untersuchung über die Gynaikokratie der altén Welt nach ihrer religiösen und rechtlichen Natur, Stuttgart』
  • 『Coalition Governments in Western Europe』
  • 『ハンナ・アーレント「戦争の世紀」を生きた政治学者』
  • 『平成26年改正会社法のポイントと実務』
  • 2015.10
  • 『RECHT GENAU:Liber amicorum für Jürgen Prölss zum 70.Geburtstag 』
  • 『 The General Theory of Employment  Interest and Money 』
  • 『憲法徒然草』
  • 『誠実という悪徳』
  • 2015.06
  • 『ネパールの女性グループによるマイクロファイナンスの活動実態:ソーシャル・キャピタルと社会開発』
  • 『民主政治はなぜ「大統領制化」するのか―現代民主主義国家の比較研究』
  • 『教養としての冤罪論』
  • 2015.04
  • 『福島原発,裁かれないでいいのか』
  • 『第一次世界大戦』
  • 『 Handbook of peace and conflict studies』
  • 2015.01
  • 『Die Zukunft des Zivilprozesses』
  • 『国際私法』
  • 『An Introduction to English Legal History』
  • 『Party System Change : Approaches and Interpretations』
  • 2014.12
  • 『ジェンダー学への道案内 四訂版』
  • 『法人税法の理論と実務』
  • 『The general theory of employment, interest and money』
  • 2014.10
  • 『Adam Smith: An Enlightened Life』
  • 『世界の技術を支配するベル研究所の興亡』
  • 『Gesetzliche Zinsansprüche im Zivil- und Handelsrecht』
  • 2014.07
  • 『Capital in the Twenty-First Century』
  • 『二院制議会の比較政治学:上院の役割を中心に』
  • 『環境と文明の世界史』
  • 『第2版 司法福祉入門: 非行・ 犯罪への対応と被害者支援』
  • 2014.04
  • 『永久平和論Ⅰ・Ⅱ』
  • 『“War by Contract: human rights, humanitarian law, and private contractors”』
  • 『“Journalism and Society”』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2015 Vol.1

古川元晴=船山泰範著 『福島原発,裁かれないでいいのか』 朝日新書2015年

内閣法制局参事官や京都地検検事正などを歴任した古川弁護士と,日本大学法学部で,人間学としての立場からの刑法学を牽引し続けてこられた船山教授との知的コラボレーションによってなった本書である。周知のように福島原発事故をめぐって原発告訴団は,数次にわたって行政と東京電力の関係者を,業務上過失致死傷害罪などで告訴した。これに対して東京地検は「行政と東京電力の関係者には過失責任を認め難い」としてこれを不起訴処分にしたのである。本書では新書という形をとりながら,この法理をめぐって膨大かつ重大な論考がおさめられている。これまで日本で裁かれた大事故や,裁かれなかった大事故などの事例を検証しながら,同時に刑事法の学説にまで論及し,「福島事故は『人災』である」との立場を明確にする。その上で,検察審査会の起訴相当との見解を詳細に解説し,「市民」の側に立った人間学としての立場からの法解釈を提起する。「起きる可能性が合理的に予測される危険については,責任者は未然に発生を防止する義務がある。また,それは法律によって,保障されないといけないのだ」と説くお二人の共著者たちの心の奥底からの叫びが聞こえてくるような新書である。
[藤原 孝教授/3F西開架]

山室信一=岡田暁生=小関隆=藤原辰史編 『第一次世界大戦』 全4巻 岩波書店2014年

第一次世界大戦は,それまでの戦争形態を一変させ,国家のあらゆる人的・物的資源のみならず国民精神までも動員する「総力戦」となった。航空機,潜水艦,戦車,毒ガスといった新兵器が駆使され,通商破壊戦が海上で展開された。その結果,1300万人が命を落とし,4つの帝国が崩壊した。大戦への反省から設立された史上初の国際平和機構,国際連盟は,戦争違法化の端緒をひらいた。
2014年7月は第一次世界大戦の開戦百周年にあたる。日本でもいくつかの研究書が刊行されたが,その一つが『第一次世界大戦』全4巻である。第1巻『世界戦争』,第2巻『総力戦』,第3巻『精神の変容』,第4巻『遺産』からなる。ここでは紙幅の関係上,第1巻のみを紹介する。
本書には9本の論説と6本のコラムが収められている。その特徴は,ヨーロッパ,アジア,中東,アフリカといった各地域間の相互関係において,大戦の性格とその影響を分析している点である。戦争原因と諸国の参戦理由,ヨーロッパ外への戦争の拡大のほか,イギリスによるインド人兵士の動員と戦後の民族運動,中国の参戦外交とナショナリズム,東南アジアへの影響,オスマン帝国の参戦と崩壊,日本の参戦経緯と対中国外交などが興味を惹く。日本における第一次世界大戦研究の現段階を示す意欲的な著作であり,学業,就活の合間にぜひ読んでいただきたい一書である。
[喜多義人准教授/3F西開架]

Charles Webel and Johan Galtung著 『 Handbook of peace and conflict studies』 Routledge 2009年

本書は,紛争/平和研究の第一人者ヨハン・ガルトゥング博士(Johan Galtung,1930年~)の研究成果を,ハンドブックの形式でまとめた一冊である。同氏は,既存のジャーナリズムが客観的な手法を原理原則としてきたために,いつのまにか‘我々と彼ら’(us and them)という2分法に陥ってしまい,ジャーナリズム本来の目的である問題解決に向けた力が発揮できなくなっていると分析する。
この問題の解決のために,紛争地における暴力行為にニュース価値の主軸を置く昨今の戦争報道(war journalism)から,ピース・ジャーナリズムへの転換を提唱する。すなわち,暴力に至る以前の経済的政治的文化的暴力や人権侵害,あるいは,紛争解決に尽力する人びとの行為の方に,より大きなニュース価値を置くべき,という提唱である。ここには,問題に直面している当事者を‘我々と同じ人間’(people like us)と捉え,ともに問題解決に向かう姿勢をジャーナリズムに持たせたいとの狙いがある。その背景には,カントの世界市民や世界正義の概念,1948年の世界人権宣言における‘すべての人間’といった考え方がある。長期化・激化する紛争地の最先端にいる現場記者たちからの共感を得て,欧州で特に再評価されている。行き詰っている日本の報道界の根幹を見直すヒントにも富む一冊である。
[別府三奈子教授/5F西開架]

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